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[collaboration]ジグソーパズル Jigsaw puzzle | 2008 |

ジグソーパズル
2008.12
永下山由香・河村るみ・柴田さやか・谷村朝美によるユニット「ムラシバアサカ」と
加藤聖子の詩「ジグソーパズル」による映像パフォーマンス (愛知淑徳大学内)
photo by Yuoko Kuwahara ※except 1st photo
ジグソーパズル
ただ空が描かれただけの、ジグソーパズルを買った。開けると、青と白ばかりのピース。これが千もあるらしい。まずは枠になるピースを探す。どれもが似ているものだから、何度も探して、やっと枠が完成した。が、あとは何も手がかりがない。手探りで地道に埋めていくしかない。大量のピースを前に呆然としていたら、同じ青でも濃淡があり、同じ雲でも明暗があることが分かる。それを仕分けながら、少しずつ中を埋めていった。青い、青い空が次第に形を成す。ピースを一つ埋めるたびに、空気が綺麗になり、空が青さを増した。喧噪が遠のいて、香るのは名も知らぬ花、聞こえるのは鳥のさえずり。頭上にはあのパズルの空が見える。切り取った一部ではなく、どこまでも抜けるような空が広がっている。私は野原の真ん中に立っている。ぐるりと辺りを見渡すと、森や川、煉瓦の家、煙突から立ち上る煙、草を食む羊の群れが見える。親しみを感じる、穏やかな世界。暖かい空気をいっぱいに吸い込んで、ころんとその場に転がる。青い空を白い雲がゆったりと流れ、空は様々な表情を見せる。と、「おーい」と誰かが呼ぶ声が聞こえた。その声に返事を返そうと起きあがると、そこは見慣れた自分の部屋だった。振ろうと挙げた手が、止まる。
詩集「ジグソーパズル」